戦前と平成が交錯する駅「鶴見線・国道」
川崎の工業地帯を走る、「鶴見線」は鉄な人だけでなく、駅から出られず、だけど絶景な海芝浦駅など一般にも話題になってる路線であるのはいうまでもありません。
しかも大川支線は、昭和時代は戦前製の旧型国電の単行が走り、その電車は木張りニス塗り、白熱灯という文字通り「レトロ電車」で有名でした。
その大川支線は通勤に特化した路線で日中は電車が走らず、休日はなんと東京近郊でありながら一日3往復しか走らない、乗るのが困難な路線。
兵庫の和田岬線とどっちがすごいって感じです。
廃線マニアにとっては工場への引込み線や石油線といった専用線の跡、産業遺産的な廃線がてんこ盛りで、とても1日では回りきれないと思います。
その鶴見線、始発の鶴見を出た途端、意味ありげなホームの跡が来訪者の興味を誘います。
この路線の一番のウリは、やはり有名な「国道」駅でしょう。
R15号線に駅があるので「国道」なのかは別にして、電車を降り、出口への階段を降りると「一体ここはいつのどこだろう」そう思うに違いありません。
薄暗いそこは、まるで戦前にでも迷い込んだかのような気分になるでしょう。
しかも壁や柱には、米軍の機銃掃射の跡を見つけることができるからたまりません。
無人駅ですので、Scicaをタッチする機械だけが文明を主張しています。
この通路、現生を忘れていつまでもいたくなること請け合いです。
しかし、この駅の魅力はそれだけではありません。
ひとたび駅を出れば、そこは「平成」です。
70年を超える時を一瞬にして飛び越えることができるのです。
暗い高架下を反対側に出ると、そこにも「平成」が広がってます。
ただ違うのは、すぐ前が鶴見川であることです。
「秘境駅」とは違ったワンダホーな感想を抱くこと請け合いです。